製造業に「個性はいらない」と書くと批判が来ると思います。
ただもしマクドナルドの店員さんが個性を出してハンバーガーにマヨネーズを入れたら?
もし3,000万円かけて買った家が大工さんの個性で、階段がなかったら?
多くの人は許せないはずです。
極端な例ですが、今回の話の方向性はこんな感じです。
僕は製造業で10年以上現場の近くで働いてきましたが、結論として「作業に個性はいらない」と至りました。
その理由だったり、実際あった事だったりを書いてみました。
何かを解決する記事にはなっていません。
ただ、こんな考えからもあると思ってもらえればと思います。
個性を求める世の中へになっている
僕はビジネス系の情報をよく見ています(本、YouTube、Newspicksなど)。
その中で、個性の大切さは本当によく出てくる。
個性(これは個人と言ってもいい)はこれからの世の中で、生きていく中で誰もが持っておかないといけないものとなっています。
また、経営者や管理職はその個性を活かしてマネジメントしなさい、とよく説かれていて、個性の重要性は高まっているとヒシヒシ感じます。
同様の言葉で「多様性」もあって、どれだけ個を見て、個を集めた組織を作るかが求められている、というのが、評論家でもない、いちサラリーマンの感想です。
上記の様な流れは、過去の反動かなと思っています。
日本は高度経済成長時代を経験しました。そこ頃必要だったのは、質よりも数です。ある程度出来る人が多くいて、トップダウンで言うことを聞いてやれば結果が出ていました。
しかし、時代が変わり同じ方法では結果が出なっています。大企業の業績が悪くなっているのを見ると分かると思います。
この反動を受け、「個人で何が出来るのか」というのは当たり前の事の様に思えます。
製造業の現場で感じた違和感
僕は製造業の現場で管理する側にいました(管理者って何か嫌な響きですが)。
その中で、困った事がありました。
それは「指示通りに作業をやってくれない」という事です。
これを言うと、「伝え方の問題」や「嫌われてたんやろ?」とかあると思いますが、確かにこれも一つの要因だと思います。しかし、やらなかった本人に聞いてみると「自分で考えてやった」、「これが自分のやり方だ」と言われました。
そして説得しようとすると「個性なく、やれっていうのか?」と・・・。
もちろんこれはごく一部の人でしたが、この時私は個性主義の欠点を見たと感じました。
製造業では同じ製品を大量に生産します。そこでは同じ製品を同じ品質で造る事が大切になります。
では、どうやって同じ製品を造るかと言うと、同じ作業をする意外にありません。
なのに、個性のために違う作業をするのは違います。
そのため、製造業の現場には世の中の流れとのギャップが存在すると感じました。
個性を標準化に組み込む
このギャップは製造業の中でよく使われる「標準化」を理解しているか、これは誰のための言葉なのかを考えるきっかけになりました。
「標準化」はやり方を決めて誰でも同じモノができる様にする手法です。
これがあるから、同じ製品が存在します(認識出来ない程度の誤差があるだけ)。
一方で、上記に出てきた個性は、この標準化に反していて、「自分が」やりやすい方法になっている事が多くあります。
つまり、他の人の事は考えずに、自分にとって良い方法の提案になっています。
ここを理解して欲しいなと、現場監督をしている時は毎日思っていました。
製造業は出来たモノで世の中を良くする責任があります。
そのために多くの人が工夫した結果が、今「標準化」しているやり方です。
ぜひ個性をこの標準化に組み入れる努力をして欲しいなと感じました。